Bonjour ! 胡桃です。フランス語では婉曲表現が好まれ、肯定文より否定文が用いられます。その方がフランス語の表現としてきれいなのだそうです。この記事では形容詞 “méchant,e” 「意地悪な」の使い方に注目しました。日常的に役立つ用例です。
sommaire/目次
フランス語の形容詞 méchant,e の意味
形容詞 méchant, e の意味を辞書で引くと
意地悪な、悪意のある、辛辣な、攻撃的な、危険な、不愉快な、くだらない
など、ネガティヴな意味が次々と出てきます。
人に対しては
「彼女は意地悪」
Elle est méchante.
「彼女は意地悪ではない」
Elle n’est pas méchante.
と表し、物に対しても、使いにくいものや手こずるものなどにもよく使われます。
そして、フランス語で
“(Ce n’est) pas méchant “ というと、単に「意地悪ではない」という意味を離れることがあります。
フランス語で意地悪ではないということは、どういうことなの?
Ce n’est pas méchant.
フランスの日常で、よく耳にするフレーズです。
*c’est に直接形容詞を続ける場合は、必ず形容詞の男性単数形を使います。
Ce n’est pas méchant. の意味は辞書では下の方にちらっと書かれていて
《話》大したことはない
ーロワイヤル仏和中辞典
ですが、日本語の「大したことはない」よりも、人とのコミュニケーションをあったかくするようなニュアンスを感じさせます。
Ce n’est pas méchant. が使われるのはこんなとき
例1 直せる状態かどうか不安だった靴の修理
この靴のソール、張り替えられますか?
靴の修理屋さん:Ce n’est pas méchant.
「ああ、これは大丈夫!簡単に張り替えられますよ」
例2 お酒を飲めない人がカクテル飲んでる?
あれっ?Eさん、お酒飲んで大丈夫なの?
お酒飲めないEさん: Ce n’est pas méchant.
カクテルを飲んでる→「アルコールフリーだから問題なしで〜す」
例3 日本食初挑戦!のフランス人Kさん
食べられますか?お口に合いますか?
フランス人Kさん: Ce n’est pas méchant.
「いけます、食べられますよ」
といった調子です
(*^-^)
日本語の「大丈夫」というようなニュアンスも感じられますね。
3つの例は、C’est méchant. の意味なら
- 靴の修理→「この修理は無理そうですな」
- カクテル→「アルコール入りじゃん!」
- 日本食の味→「いや、ちょっとパスですね」
méchant で状況をこんなに表現できるのね。可愛い形容詞だわ
méchant ではない、ということは、けっこう、良い意味ということです。
ちなみに、猛犬注意!をフランス語で
門の入り口などに
Chien méchant
と書いてあったら、敷地内に番犬がいますからね! という意味に。
そうともいえるし、そうとはいえない。遠回しなフランス語表現
ストレートにものをいわず、やんわりと遠回しにも感じられるフランス語の表現をいくつか上げてみます。
文脈によって意味合いが変化しますし、日本語の表現と一致する場合、しない場合があります。また、”程度” を表す語句で意味の度合いが変わってきます。
- (人などが)優しい:pas méchant
- (値段が)安い:moins cher, pas cher
- なかなか良い (評価ではtrès bienの次):pas mal
- 素敵、きれいではない:moins joli
- 難しい:moins facile, pas facile
- 少ない:pas beaucoup
- 寒い:pas chaud
- 近い(物質的、認識上):pas loin
- たまに:pas toujours
- ずいぶん(な言い方)だなあ:Ce n’est pas très gentil.
日本語をそのままフランス語で探すと、ときにはキツいもの言い(´゚д゚`) になることも?
このような婉曲な表現は、日本語を教えるときにも、そうといえるしそうだとはいえない日本語の世界にもピッタリで、フランス語、ありがとうーって気持ちになります(笑)
ジグソーパズルを裏返してはめてるようで面白いな
(*^-^)
Merci et à bientôt !
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