Bonjour ! 胡桃です。フランスで自転車族となって早3年余り。この記事ではフランスで自転車に乗らなかったら知らずにいただろう、情けが熱い!フランス人との触れ合いエピソードをまず2話、お喋りしたいと思います。
sommaire/目次
初めて自転車で街へ降りる前の夜は怖くて眠れなかったけど
森の中にあると言ってもいい私の家から街までわずか2kmだけれど、街までの県道は中心地近くまでは歩道なし、制限速度は567の外出制限が解除された2021年春に、画像のように50kmに下げられましたが、それまでは70キロ道路でした。
住んでいた神奈川県でイメージすると、小田原厚木道路が70キロ道路でしたが、小田厚は覆面パトカーがしょっちゅう取り締まりをしていたのでスピード違反車はよく捕まっていましたっけ。
同じ70キロ道路でも、欧州、フランスの風光明媚な場所はサーキット場と化します。見通しの効かないカーブでの無理な追い越し。無謀な運転をするのは大抵は観光客ですが、そんな道を自転車で走るなんて・・・電動アシスト自転車を持った嬉しさより緊張の方が先立っていました。
しかしながら自転車に乗らなかったら知ることはなかったであろう街の人々の優しさ。自転車の国の人情をご紹介します。
地元ナンバーの車が自転車族に優しい。
フランスで自転車族になろうとは夢にも思いませんでしたが、日本にいた時は無類の車好きだった私はフランスで運転する気になれませんでした。運転の文化と常識の違いはそりゃあおっかないのなんのって、助手席に座っていてもハラハラすることばかり。外国で車のことですったもんだは避けたいと思いました。
そんな文化の違う車たちと自転車族の共存だっておっかないことには違いないけれど、自転車で走っていると、後続の車がかなり速度を落とす気配がするんです。そして私と車1台分くらいのスペースを空けてゆっくりと追い越して行きます。その多くは地元のナンバー。思わず「ありがとう」とつぶやいて胸がいっぱいになります。
日々、思いもよらなかったこのような親切に包まれて走っています。
公共の交通機関が恐ろしく不便なこの地域では多くの人が移動手段として自転車に乗り始め、バイクや車に乗る年齢になる前に多くの人が自転車生活を経験しています。だからきっと、自転車族の気持ちがわかるのでしょう。
前を見ていないバカンス車はおっかない。。
反面、ペダルを漕ぐ足元に風を切るほどに自転車スレスレを猛スピードで追い越していく車ももちろんいます。
イライラしてる風な地元ナンバーと、殆どはパリなど他県のナンバー。バカンス客は自転車など目に入らぬ風。猛スピードで無理な追い越し、そうかと思えば信号が青に変わっても発信しない。彼らの地元ではどうしてるのか不思議に思い、もしかしたら、私の地元はこうして行儀のよろしくないバカンス客と付き合ってきて大変な思いをしているから優しいのかもしれないと思うのです。
地元のナンバーが私と1台分空けてゆっくり追い越しているところを、私とその車の間を割ってくるバカンス車も珍しくなく、この国で事故が多いのも頷ける気がします。救急車が増えた昨今も、救急車のために一般車が止まっていることが分からない車もいるくらい。
なので街へ降りるときは県道を、帰り道はキツネのカップルを見かけることもある森の小径をのんびり走っています。
親のように心から心配してくれるフランス人
車両通行禁止の道を自転車を押して歩いていたときのこと。
後ろから「マダム!マダム!」と声がする。周囲に人はいないので何か落としたかな?と思い、立ち止まったら、私より先輩の年齢と思しき男性が一生懸命何かを言っていて、何を言っているのかわからないので聞き返したら、「ロングスカートがタイヤに絡まったら危ないよ」ということでした。
自転車族になって普段の服装が一変して、何よりスカートがはけなくなったことは仕方ないと思いつつもかなり悲しいことでした。
この日は夏の上天気、後輪に衣類ガードをつけているのでロングスカートで出かけました。自転車を押す私のスカートはペダルに被さるか地面に届くかという長さ。男性はそんな私の姿を見ていられなかったのでしょう。
私はありがとうとお礼だけ言って歩き始めましたが、人のことをこれほどに心配して下さって、なんて優しいのだろう。まるで親のようだと思ったら、もういない親が思い出されて胸が熱くなった。
これが日本だったら、こんなこと言ったらなんて思われるだろうという気持ちが先立って、変な人だと思われないことを優先するだろうな。
20代そこそこだった昔、新宿駅東口から線路沿いに露店がひしめいていた通りで、何屋さんだったか、母くらいの年齢の女性が私に「お姉さん!バックが空いてるよ!気をつけなね!」と声をかけてくれたことがある。
私が海外でただの一度もスリに遭っていないのも、このときの声がいつも心に住んで私を見ていてくれるような気がしているからかもしれないと思うのです。
いい時代だった。江戸っ子はサバサバと情けが熱くて、大人のお手本のような人に沢山出会った。
フランスで自転車族になってよかった
フランス人は大っきれーだ!という声も少なくないですが、まあ、親切なんて通り越して、本当に親のように優しいと感じています。乗り始めた頃、チェーンが外れてしまった時も、近くにいる男性に助けを求めれば直ぐに元どおりになってしまいます。自分で何とかしようと苦戦していた時なんて、年配の男性が、誰かに声かけて直してもらいなよ、と。誰もが助け合って生きているのです。
フランスで親切にしていただいている話、次回またお喋りさせてくださいね。
Merci et à bientôt !
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