Bonjour ! 胡桃です。9月に市立の音楽学校の声楽科に入りました。フランスの習い事事情、日本と社会背景の当たり前が違えば言葉の行き違いもあり、大人の習い事を始めるにあたって発見がいろいろありました。
この記事では私が音楽学校に申し込むまでのこと、費用のこと、日本は文化的でやっぱりすてきな国だと思うことなどについてお話ししたいと思います。
フランスで習い事を始めたいと思った場合の選択肢はいろいろあります。日本では習い事の場の多くが個人や民間の尽力によることが多いですが、主に次のような入り口があります。
- 市、地域のアソシエーション
カヌー、サーフィン、乗馬、テニス、トライアスロン、サッカー、柔道、空手、合気道などなどが市の管轄の団体で費用面も公共価格で学べます。 - 市立の学校
9月始まり。講師陣はいわゆるインストラクターではない専門家。 - 私立の学校
入学随時。個人経営の、日本でいう「教室」にあたります。 - 現役を引退した人、50歳以上の人のためのアソシエーションもあります。
ヨガ、アクアジム、スクラブル、小旅行などプログラムは多岐に渡っていて、家にこもらず人と交わるためのグループ。
このように選択肢があり、私は日本にいたときに経験したアクティビティから「歌」か「バレエ」を候補にあげていました。
先月、市立の音楽学校に申し込みを済ませたのですが、習い事ひとつとても日本とは社会の当たり前が違うため、発見やら行き違いやらフランス社会の学びがたくさんありました。
違いや知らないことって言葉の問題外のことで、目を丸くするようなこともありましたが、外に出るってやはり大事だと思いました
市立の音楽学校
フランス語の発音の上達を考えると、「歌」ほど有効なことはないですよね。
そこでフランス語の歌を歌う声楽はどうだろう?と思い、調べてみたら市立の音楽学校に大人の声楽の個人レッスンコースがあったのです。
週1回のレッスン費用は1年間400ユーロ。
1年間といっても実質11か月ですが、良心的な価格だと思います。
入学まで一年がかりだった
大人の習い事ではあるものの、市立学校ということで9月始まりです。学校には当然子どものクラスも多くあるのに、私は最初、9月始まりと聞いてちょっと驚きました。
習いたいときにすぐ始められるのが大人の習い事、と頭の中は和風100%でしたから笑
ときは2月、夏までには半年もありますが早く始めたい燃え盛る気持ちを抑えられず、学校へ行ってみることに。
学校の受付では、声楽の先生のクラスはいっぱいだけど、と言いながらレッスンがある日時を教えてくれて、先生に会い、やはり申し込みは9月からということでレッスンを見学して帰宅しました。
それから半年後。
学校への申し込みはいつから受け付けるのかを電話で問い合わせました。
私が聞こえたことは「9月から」と「学校が始まるのは9月16日から」ということだったので、9月16日に申し込みに行きました。
ところが、9月16日はコースが始まる日だということがわかり。。。
私が半年前にお会いした先生のコースはすでにいっぱいと言われました。
しかしながらその時間、ちょうどその先生がレッスン中ということで、半年振りにお目にかかったのですが、別の先生を紹介してくださいました。
半年間その先生を思って楽しみにしていたのに残念ね
しかし私はなんてツイてる!幸運にもコースが一人分空いていました
感動の声楽体験レッスン
どんな習い事も、初回は体験レッスンを受けることが出来て、その後、正式な申し込み、支払いをします。
私もドキドキしながら早めに学校の前に着きました。
10分近く経ってちょっと心配になってきましたが、雨が降ったり止んだりの曇り空の下を、赤いコートを羽織った女性が歩いてくるのが見えました。
声楽の先生です。
案内された教室に入ると、ローズピンクの壁、白いグランドピアノ、生徒用の譜面台などなど、いかにもフランスらしい雰囲気の部屋に気持ちが高鳴ります。
私は用意したフレーズで自己紹介、それから発声練習が始まり音域を確認、20歳前後混声合唱団で歌っていたときのソプラノはそのままでした。
そして先生から日本語の母音について聞かれ、日本語に鼻母音はあるかと聞かれたり、歌もフランス語も楽しみになってきました。
費用の支払いは基本、年払い
フランスの学費の支払いは年払いと聞いていたので、フランスに来て習い事を考え始めた当初はかなりためらいました。今はそういうものだとわかりましたが、日本だったら個人の教室は月謝制、カルチャーセンターでも3か月毎などが普通ですから、かなりドキッとしたものです。
それで年間の費用の用意をしていくと、実は半期分ずつの納入とのこと。
最初から明記されていればドキッとしないのにね
情報は十分ではないし、出向いて経験してみないと何もわからないものだとわかりました
申込日を問い合わせたときと同じ男性でしたが、直接知りたいことを尋ねても、学校の当たり前、フランスの当たり前を前提にお話しされるので、私には情報不足な面がいろいろありました。
こうなると言葉の問題以外の難しさですが、まあ、外国人は大概はこんなものですね。
それからは練習したい曲も決まり、楽譜もネットで見つけられて、歌に関してはトントン拍子で進んでいます。
個人経営のバレエ教室
フランスに来て、歌より先に始めたかったことは、バレエでした。
日本の大人のクラスで経験はあるし、何より本場のバレエ教室はどんなだろう♡、フランス語を浴びながら踊るイメージに酔いしれていました。
先の声楽コースに申し込みが遅れたのも、実はバレエと迷っていたことが原因のひとつでもありました。
フランスのバレエ教室に期待が大きすぎたかも?
音楽学校より先に、私は街のバレエ教室に問い合わせをしています。ですが、連絡しても返信なしで、私も教室に入りたい気持ちも冷めていきました。
習い事を始めるにあたって、フランス語の上達には歌の方がいいとは思うものの、歌うにしてもまずは運動と思い、連絡がつかない教室に直接行ってみました。
私は先生に「教室に入ることを考えていて、レッスンを見学させていただきたいのですが」と言いました。
すると先生は
「発表会じゃないんだから見学は出来ません。レッスンウエアに着替えてレッスンを受けたらどうです?」
親切なんだか横暴なんだか・・わかんないわね。それで胡桃さんはどうしたの?
今来た道を自転車を飛ばして戻って大急ぎで着替えてレッスンを受けたわ
体験レッスンは1回限り。2回目からは1年分の納入
バレエは日本を離れて以来6年ぶり。
この日はとにかく怪我しないように恐る恐る動いたけど、1時間のレッスン時間はあまりに短く、期待していた先生のフランス語のゲキもなく、背中がミシミシいう感触もなく。
ただクラスメイトがみな優しくて、日本のクラスにありがちな競争意識のようなものは無縁だと安心しました。
私が挨拶をしたら、「よろしくお願いします!」って日本語を話すお嬢さんも。
レベルが分かれているのと、レッスン時間もクラスによって長短があるため、他のレベルも見学してから曜日を決めて申し込もうと思い、家に帰ってから先生にお礼と私の希望についてのSMSを送りました。
が、返信なし。
私は別のレベルのクラスの体験レッスンを受けたいと思い、レッスンウエアを準備して教室に入りました。
ところが先生は「体験レッスンは1回限り、2回目からは正式申し込みをしないとダメ」とのこと。
私は「曜日によってレベルもレッスン時間も違うから、レッスン内容を確かめてから申し込みをしたいし、体験レッスンの費用はお支払いします、とSMSで送りました」と話しました。
でも先生は2回目からは1年分を払えの一点ばり。
レッスン日は週2回の場合、1年間590ユーロ。
1年分一括払いです。
(* ゚ω゚ *)
話しても話しても、今度は私がフランス語を理解していない?を疑っている様子で話にならず。
私が送ったSMSは、私が電話番号を入力間違いをしていたことが判明、返信がなくて当然ですが、レベルについては、案内書では初、中、上級と分かれているのに、このとき初めて「どの日も全部のレベルが入り混じって、どの日に受けてもレベルは一緒」と聞かされました。
胡桃さんもおっちょこちょいだけどその教室、ちょっとテキトー過ぎね
先生は自分の当たり前、フランスの当たり前を前提でしか話していないので、言葉以前に分かり合えないものがありました。
押し問答の挙句、先生が「今日レッスンを受けたいのなら今銀行に行ってお金を下してくれば」と口角泡を飛ばすので帰ることにしました。
フランスでは一括払いが常識なので、わざわざ一括払いと明記していなくて当然なのね
( ̄‥ ̄)=з
先生の都合はわからないでもないけど、商売上手とはいえないわね
私がお金を持って出直したら、ガラリと態度を変えるかもしれないって。フランスってそういうお国柄らしいわ
日本のバレエの先生たちのレベルが相当に高いのかもしれない
フランスでひとりの先生に会っただけに過ぎませんが、日本のバレエの先生方の熱気が強烈に蘇ってきました。
日本の先生の多くは個人で教室を経営されていて、カルチャーセンターでは民間のバレエ団のダンサーが講師をされています。
個人の先生方が内外のコンクールで入賞者を輩出し、今や日本のジュニアのレベルは世界一とまで言われています。
もしかしたら、日本のバレエの先生の情熱が世界一なんだろうと気がつきました
今の先生方の先生のレッスンでは、スリッパやコーヒーカップがフツーに飛んできたって(* ゚ω゚ *)よく聞くわ
私が習っていたスタジオでも、中学生たちはタオルは2枚持参、1枚は涙用よ
西欧、ロシアの芸術に先生たちが恋して恋して、思いの強さが日本のジュニアを育むのだとしみじみ思いました
フランスで大人の習い事 おわりに
フランスで大人の習い事の申し込みひとつとっても、言葉の問題以前に知らないことや想像もつかない当たり前があって、外国人はあたふたと翻弄されますが、行動を起こして知ることが出来れば「よかった」のひと言です。
学校の外で私が自転車をロックしていたら、中から出てきた男性に「何のコースを取ってるの?」と聞かれました。
彼はトランペットを習っているそうで「7年目なんだ。少しずつやってるよ」と。
街のアソシエーションといい、引退後のアソシエーションといい、人が家にこもらない、幾つになっても居場所がある、という点で、フランスはやはり大人社会だろうと思いました。
プロではないアマチュアを目指しやすい日本はすごい国だと思う
一方で、日本の個人や民間の、スポーツ、芸術、文化に対する情熱たるや、世界一と言っても良いのではないでしょうか。
影には、アスリートや芸術家たちが「教える」ことなしに活動を続けることが難しいといった事情も否めませんが、需要と供給がマッチしなければ成り立たないことでもあり、アマチュアのアクティビティとしてはハイレベルの習い事が叶う環境でもあります。
日本人の長寿だって、このような素晴らしい環境が無関係ではないのではないでしょうか。
一流の教師がいて発表の場が多くあり、身支度をして緊張マックスで人の前に出て行く。
年を取るほどに人の前に出ていかないと。
21世紀は魂の時代と言われるけれど、日本の文化度も経済に変わってもっともっと注目されるといいなと思うこの頃です。
「習い事」をフランス語で何という? 習い事に関するフランス語
- 習い事:Je prends des cours de 例えば chant.
私は声楽を習っています。
または
Je pratique le chant (avec un professeur) - 入学申し込み:s’inscrire, enregistrement
学校に「登録する」という意味 - 音楽学校:l’école de musique
- 〇〇科:course
- アソシエーション、団体:association
- 市立の:municipal (ale)
- 私立の:privé (e)
- 声楽、歌:chant
- バレエ:danse classique
- 受付け:secrétaire
- 楽譜:partition
- 見学する:voir
- 発表会、公演:spectacle
Merci et à bientôt !
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