Bonjour ! 胡桃です。パンが主食である国フランスの小麦粉の多様さには驚くばかりです。フランスに来た頃は何が何だか??だった私も、今は毎日のようにパンを焼く生活になり、小麦粉について発見が楽しい日々です。この記事ではフランスの小麦粉の使い分けをまとめました。
どれだけあるのかフランスの小麦粉、スーパーの棚の前で呆然としてしまうほどですが、まずは小麦粉の袋を見てみましょう。
(私は特にメーカーは決めていません。買い物に行った先々で買っています。)
このように、小麦粉の袋には〈T〉と、その後に数字の表記があります。(ブレンドしてある小麦粉には表示なし)
- 〈T〉とは? ‘Type=ミネラルの含有量’ の頭文字をとったもの。
- 後に続く数字で小麦粉の区別をします。
この数字は、数字が大きくなるほど繊維質やビタミン、ミネラルといった栄養価が高くなります。
後で詳しく記しますが、80以上はちょっと別物で、お米でいうなら精白米と違う、雑穀米のようなもの。完全に精麦したものではなく、雑穀米と同じように真っ白ではなく、灰色がかり、腹持ちがいいパンを焼く小麦粉です。
それでは、各小麦粉の特徴と、選び方をみていきましょう。
Fluide 繊細な食感。デリケートなスポンジ、ワッフルなどに
T45小麦粉の一つ。
フランスの小麦粉の中で最も粒子が細かくサラサラ、ダマにならない。
粒子が細かくダマにならないため、Fluideという名の通り、液状から作る料理に適しています。
例えば、クレープ、ワッフルなど。
他の小麦粉と混ぜるのにも適しています。
スポンジケーキといっても、重みが欲しいとき、ティラミスの土台のように軽さが大事なときなど色々ありますよね。
T45Fluideだけなら軽いスポンジが焼けますが、これからご説明する、別のT45と混ぜることで、好みの弾力を調整できるわけです。
日本の、クリームもろともふわっととろけるようなスポンジは、T45Fluide が近いと思います。
日仏どっちのケーキが美味しいか?というより、日本人が慣れ親しんで美味しいと思う食感が違うわけです。
T45は取りあえず何でもいける白い小麦粉
TOUT USAGES T45
軽い、白い小麦粉。樹皮が完全に取り除かれていて、繊維はほとんどなく、炭水化物が多い。
膨らむレシピならT45に任せて。スポンジケーキ、パンケーキ、ブリオッシュ、天ぷらの衣など万能の小麦粉ですが、前出のFluideと比べると重みがグンと増して、もっちりした食感になります。
Fluideと混ぜると日本の薄力粉の食感に近くなるように感じます。
T55からは繊維、グルテンが豊富、栄養価アップ
TOUT USAGES T55
こちらも白い、万能小麦粉ではありますが、 T45よりも繊維、ミネラル、タンパク質など栄養価がアップ、弾力があります。フランスでマルチユースといえば、T45よりもT55のようです。
食感もT45より力強くなります。
用途は、ブリオッシュ、シュークリームの皮、パイ生地、ピザの生地、そして、クロワッサン、パン・オ・ショコラ。こう聞くと、食感をイメージしやすいと思います。
また、バゲットの中でもサンドウィッチ用の、白いバゲットに使われます。
フランスのシュークリームの皮がゴワゴワ固くてがっかりした人は少なくないと思います。T55で焼けば、かなりしっかりした皮になることがわかりますね。シュークリームはフランス菓子ですから、日本で好まれるふわっとした食感と別物。
在仏なら、皮をT45とT45Fluideを試して、フランスの美味しいクリームでシュークリームを作ると、フランス生活もかなり満たされることと思います。
T65はお食事用バゲットに
T65
フランスの伝統的な小麦粉と呼ばれ、バゲットの小麦粉として繊維、ミネラルたっぷり、力強さが出ます。
T55がサンドウィッチ用バゲットなら、T65はお食事に美味しいバゲットになります。この辺りのバゲット用の粉で、知らずにパンケーキなど焼いてしまうと涙モノです(´゜д゜`)
T80からは栄養豊富。
T80
白っぽい灰色の小麦粉。繊維、タンパク質、ミネラルが豊富で、栄養価は理想的。香りも良い。単独か、他の小麦粉やライ麦などを混ぜて、様々なパン、ペストリーを作ることが出来ます。
T80からは麦の殻が残り、なんともいえない小麦の香りが。満腹感もあります。ただ、農薬は穀物の殻に残留するため、T80以降はBIOを選んだ方が良さそうです。
T 110、T150は栄養価が高い。Pain complet
こちらの小麦粉は左の、complète T150 の粉です。
T110、T150
小麦の殻を残した茶色の小麦粉。
T110は、semi complet
T150は、complet。小麦の中で最も栄養価が高い。
T150は石の石臼で粉砕され、胚芽、タンパク質、ふすま(麩:小麦の皮のくず)も含んでいます。
Pain completは、パン屋さんで1日に1個とか、数個程度しか焼かないようです。栄養があり消化に時間がかかる=腹持ちのいいお食事パンです。
フランスのケーキ類は、これら6種類の小麦粉が使い分けられている
フランスのケーキ類、もちろんお店により同じではありませんが、歯応えというのはケーキには当てはまらないものの、ワインでよく形容される「しっかりした」食べ応えを感じたりしないでしょうか。
小麦粉の特徴を知ると、味わいもすごく腑に落ちますね。
日本人が美味しい!と思う、もちもち食パンの小麦粉は、どれ?
フランスで食パンは、パン・ドゥ・ミ。
pain de mie の、mie は、パンの身!白い柔らかい部分のことです。
日本人は世界一美味しいいパンを食べている、と言われるのは本当でもあり本当でなくもあり。慣れ親しんでいるパンこそ故郷の味、日仏で美味しいと思う観点も違いますから、フランスのパン屋さんのパンがいちばん美味しいとは限りませんね。
日本の食パンといえば、食感はもっちり&ふわふわ、香ばしい皮もしっとりビュ〜ンと伸びるような。
イギリスパンとも呼ばれる山型食パンは、フランスには存在しません。フランスの小さな食パン、pain de mieは日本の食パンとは別物ですね。
私はパン屋さんの pain de mie だったらスーパーのサンドウィッチ用のような、日本の食パンに近いパンの方がいいくらいでした。
パンだけは永遠に焼かないだろうと思っていた私ですが、他の国の友人の影響で、仕事がひと段落した今年の夏に焼いてみようかなと思い始めて、今では夫が喜んで食べてくれるパンを焼けるようになりました。
毎日のパンとして、主に山型食パン=イギリスパンと、パン・コンプレを焼いていますが、以外や夫にも評判の、胡桃ノルマンディ風イギリスパンの小麦粉をご紹介したいと思います。
もちもち食パンの小麦粉
pain de mie のフランスのレシピでは、T45を使う人、T55を使う人、両方いらして、私も両方試したところ、T45では弾力がもの足りず、T55だと強すぎて、これはブレンドしかなさそう!と思い、数カ月間ABテストを繰り返しました。
小麦粉のブレンドと、材料、作り方を、執念深くABテストを繰り返し、ひょんなことから3種類!の小麦粉を使うことで着地しました。
その小麦粉は
左の、パンの小麦粉とやら、最初に買ったときは2.5kgの大袋を買ってしまったんです。頃は再び外出制限令が出る直前、以前から気になっていた小麦粉でもあり、備蓄の一環?として買いました。
この小麦粉は、ハムやフロマージュによく合う、袋の絵柄でもあるパヴェのような、薄い灰色のお食事用パンが出来ます。小麦粉はおそらく、T80以上をブレンドしたものと思われます。
それはそれとして、朝食に食べたいパンとは別物なので、他の小麦粉と混ぜてみることに。
最初はこのmon pain maison をT45と混ぜ、配合を変えてABテスト、次にT55でも同じようにテスト、そしてついに、この小麦粉とT45とT55の3種類をブレンドすることに。
最初は日本の食パンのようにモチモチに!とだけ思っていたのですが、フランスの小麦粉の栄養を知ると、T45は少な目にしよう、と思い、
3種類の配合を、またまたテストを繰り返して今に至ります。
毎日のように焼いているので時間と競争、写真を撮るのも忘れてしまうのですが、近いうちにフランスで焼く食パンのレシピをご紹介したいと思います。
Merci et à bientôt !
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